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天寵山兼田窯の見どころ!伝統が育てた現代的な萩焼【山口県萩市】


山口県萩市の天寵山兼田窯は200年の歴史ある窯元です。現在は8代目兼田昌尚氏が当主となっています。兼田昌尚は、幼いころから陶芸に囲まれて育ち、大学で彫塑を学び、伝統を大切にしながらも、刳貫(くりぬき)技法という新しい萩焼を生み出しました。彫刻と陶芸のハイブリットともいえる作品は、日本だけでなく、海外でも評価されています。作品を一目見ると心を奪われてしまう、天寵山兼田窯8代目兼田昌尚氏の魅力に迫りたいと思います。

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萩焼とは

400年以上前、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に、萩藩の開祖となる毛利輝元が朝鮮の陶工兄弟に藩の御用窯を開かせたのが、萩焼の始まりだそうです。

「一楽、二萩、三唐津」

と言われるほど、萩焼は茶道界で重要な位置づけにある茶器です。

他の焼物と違って、硬く焼き締めるのでなく、やわらかく焼き上げてあります。

表面に細かいひびが入っていて、使い込むほどに、器にお茶などがひびにしみ込んで、色が変わっていきます。

真新しい器が使っていくうちに、色が変わり味わいが出ることを

「萩の七化け」

といって、萩焼の大きな特徴となっています。

売っている状態を完成品ととらえず、それを使う人によって育てていくという発想の焼物なんですね。

使い手により侘び・寂びが増す、それゆえ萩焼きのとりこになってしまうのだと思います。

なお、2002年に経済産業省より「伝統工芸品」に指定されています。

天寵山兼田窯8代目の経歴と作風

天寵山兼田窯の開窯当時は磁器の窯元でしたが、大正時代に萩焼に転向しました。

昌尚氏は、7代目兼田三左衛門氏の長男として生まれ、東京教育大学教育学部芸術科彫塑専攻を卒業し、筑波大学院芸術研究科彫塑専攻を修了します。

そののち、三左衛門氏のもとで陶芸を学びました。

ちなみに三左衛門氏は5代目兼田徳蔵に師事して、数々の功績をあげた方です。

蹴ろくろでの制作を十年間やったのち、

  • 「ろくろに振り回されているのでは、自分のやりたいことと違う」
  • 「もっと自由に自己を表現したい」

と、ろくろでの制作に限界を感じたそうです

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刳貫技法(くりぬきぎほう)

そしてあるとき土の塊にひらめきを感じ、土の塊を薪や木片で叩き締め、中をくり抜く独自の作風にたどりつきます。

これを刳貫技法と呼んでいます。ろくろ力から土の持っているエネルギーを表現するかたまり力への転向です。(ろくろでの制作をやめたわけではありません)

個人的な感想ですが、この技法にたどりついたのは、彫塑を学んだ経験が大きく影響していると思います。

彫塑と陶芸を極めたからこその、技法だと。彫刻にはおおきくわけて、

  • 木彫や石彫などの削りだしで作るカービング
  • 粘土などを付け足して形作るモデリング

があります。

昌尚氏の作品は、土から作っているので彫刻に例えるとモデリングなのですが、カービングのようにみえます。まるで現代美術のようです。

とにかくみているだけで、その不思議な力強い作風に魅了されてしまいます。

しかし、昌尚氏は彫塑的にならないようあくまで焼物であることに意識しているそうです。

力強いフォルムに、白萩釉(藁の灰からなる釉薬)のやわらかな雰囲気と、登り窯ならではの灰被り(薪を投げ込む場所で焼かれたもの)が融合して、昌尚氏にしか出せない世界が広がっています。

作品から土の持つ存在感と、彫刻的な造形意識のせめぎあいを感じることができます。

  • 西日本陶芸展(山口県知事賞)
  • 日本工芸会山口支部展(朝日新聞社賞)
  • 九州山口陶磁器展(毎日新聞社賞)
  • 西日本陶芸美術展(通産大臣賞)
  • エネルギア美術賞
  • 山口県芸術文化振興奨励賞

など、数々の賞を受賞しています。

また作品は、

  • 山口県立萩美術館
  • 東京国立近代美術館
  • ブルックリン美術館
  • メトロポリタン美術館
  • 横浜そごう美術館
  • 山口県立美術館
  • 岐阜県現代陶芸美術館

などに所蔵されています。

個展も精力的に行っています。

  • 「現代日本の陶芸家と作品<vol.1>西部編」
  • 「現代日本の陶芸家125人」

に掲載。

窯元兼ギャラリーの基本情報

  • 住所:萩市椿東前小畑4867-1 JR東萩駅から徒歩20分のところにあります。
  • 茶器、水指(みずさし)、花器、皿、ぐい飲みなどを、奥様の対応で購入することが出来ます。
    実際に作品をみると、惚れ込んでしまいますよ。菊屋横丁の菊屋家住宅の近くにある「彩陶庵」でも、作品を購入することが可能です。
    こちらは、オンラインショッピングも出来ますので、遠方の方はいいかがでしょうか。

窯元の近くにある世界遺産、萩反射炉

反射炉とは金属溶解炉のことで、萩藩が軍事力強化のために作ったものです。

現在残っている遺構は煙突部分です。

反射炉の遺構は全国に3箇所しかなく、たいへん貴重なものです。

天寵山兼田窯に訪れた帰りに、足をのばしてみませんか。

萩市の観光・お出かけスポット

萩市の他の見どころをまとめました。

山口県萩市の観光スポットをご案内!幕末の志士が闊歩した歴史ロマンの町!【山口県萩市】

天寵山兼田窯の見どころ!伝統が育てた現代的な萩焼【山口県萩市】のまとめ

7代目兼田三左衛門氏は、息子である昌尚氏の作品には一切口出しをせず、息子からも学ぶことがあると晩年まで精力的に制作活動を行っていたそうです。代々続いた窯元、親子といえ師弟さらに作家同士なので、対立があってもおかしくないと思うのですが、互いに尊敬しあう関係だったと思うと、感動してしまいました。そんな7代目のもと、新しい風となった8代目の作品のパワーを、ぜひ感じてほしいです。百聞は一見にしかずですよ。一目見ると、作品に圧倒されること間違いなしです。

 

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