鳥取県鳥取市の渡辺美術館は鳥取県の登録博物館です。日本刀や甲冑を中心に、戦乱を描いた屏風絵や古美術品など、さまざまな美術が鑑賞できる博物館です。日本刀などの古美術品の所蔵点数は、国内屈指の一万五千点に及びます。さらに詳しく渡辺美術館の見どころをご紹介させて頂きます。
渡辺美術館の由来
渡辺美術館は、鳥取市の精神科医師渡辺元氏が、昭和初期から60余年集めた古美術のコレクションを展示するミュージアムです。
起源は、渡辺医師が昭和16年に、台北大学の精神医学教室に赴任した時に、台湾の仏像の収集を始めたことです。現在に至るまで、東洋文化圏諸国の古美術を収集し続けています。
昭和53年になると、医療法人明和会渡辺病院付属美術館を開設し、コレクションを一般に公開しました。
昭和62年になると、財団法人渡辺美術館を設立し、財団で美術品を管理するようになりました。
美術館には、マスコットキャラクターがいて、
- 「かっちゃん」
- 「ちゅうくん」
を併せて「かっ・ちゅうくん」と言います。
かっちゃんは、赤をベースとした、「WATANABE」の「W」をあしらった甲冑を着込み、ちゅうくんは、「ちゅう」という音から相棒としての足軽ネズミの役割を与えられています。
このマスコットキャラクターは、
「ミュージアムキャラクターアワード2014」で一位
に選ばれました。
代表的所蔵品
源平合戦図屏風
もっとも代表的な美術品の一つは、平家物語をもとに描かれた
「源平合戦図屏風」
です。
この作品は江戸時代末の鳥取藩絵師、根本幽峨(ねもとゆうが)の手による、六曲一双の、
- 高さ172センチメートル
- 幅7.2メートル
にも及ぶ大作です。
左隻は「屋島の合戦」で、義経が間違って海に落とした弓を、敵中の危険を冒して弁慶が拾うところを描いてあります。
右隻の「宇治川の先陣争い」は、総大将源頼朝が、武将佐々木高綱に名馬生唼、武将梶川景季に名馬磨墨を与えて、京都の宇治川で先陣を競わせたところを描いてあります。
どちらも、構図は大胆で細部は丁寧に、最良の岩絵の具で描かれた、経時劣化を感じさせない華やかで美しい作品です。
曽我物語図屏風
また、「曽我物語図屏風」は、室町時代から宮廷絵師として活躍した土佐光吉の描いたとされる名品です。
曽根物語は、源頼朝の主催する富士山のふもとでの狩りの場で、十郎と五郎という兄弟が父の敵討ちを成し遂げる話ですが、右隻には、富士山麓での頼朝の鷹狩の様子が描かれ、左隻では、敵討ちを成就した前後の情景が描かれています。
関ヶ原合戦図屏風
そして、「関ヶ原合戦図屏風」。高さ1.72メートル、幅7.56メートルの六曲一双の江戸時代の屏風絵です。
右隻には、徳川家康の本陣が、左隻には石田光成の陣所が描いてあり、東西両軍の激突の様子が、徳川側の東軍優勢の状況で描かれています。
人物や甲冑はとても丁寧に描写してあり、陣形もほぼ際の状態で描かれています。
関ヶ原合戦屏風絵は、津軽本や井伊家本などが有名ですが、それらと異なる様式を示した作品です。
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鳥取池田藩特設コーナー
また、「鳥取池田藩特設コーナー」では、鳥取県池田藩に伝わる
- 名刀
- 甲冑
など、数多くの展示があり、美しい印旛鍔のコレクションも鑑賞できます。
このほか、
- 朝鮮王朝時代の、渭原石製の「松竹梅太公望文日月硯」
- 不定時法に改良した和時計の一つ「二挺天符目覚付櫓時計」
など、様々な東洋古美術が展示されています。
渡辺美術館の基本情報
- 休館日:毎週火曜日と12月30日から1月2日まで
- 開館時間:土日が午前10時から午後5時、それ以外の開館日が午前10時から午後3時です。
- 入館料:一般が900円、高校生・大学生が500円、小学生・中学生が300円、障碍者が400円です。障碍者以外は、団体割引も利きます。
- アクセス:JR鳥取駅北口から路線バス「砂丘・岩井方面」バスに乗車15分の「渡辺美術館前」で下車します(約300円)。
また、JR鳥取駅からループバス「麒麟獅子」に乗っても来館できます(300円)。
自動車で来る場合は、中国自動車道佐用インターチェンジから、国道373号、鳥取自動車道、国道29号、県道318号を経由して約2時間、あるいは、津山インターチェンジから国道53号、県道318号を経由して約2時間30分です。- 無料駐車場:約50台分あります。
周辺観光施設
鳥取砂丘
北へ車で10~15分ほど行くと、鳥取砂丘に着きます。
鳥取砂丘は、東西16キロメートル南北2キロメートルの日本最大の砂丘です。
最高起伏47メートルに及び、
- 風によって作り出される「風紋」
- くぼみになった「すりばち」
を観ることが出来ます。
砂丘では、ラクダの背中に乗って砂丘を遊覧できるほか、砂丘の馬車や砂丘リフトなどの乗り物もあり、さまざまな遊覧方法で砂丘を楽しむことが出来ます。
このほか、
- サイクルモノレールやさまざまな遊び道具のある「鳥取砂丘こどもの国」
- 無料駐車場が目の前にある「鳥取砂丘海水浴場」
- 鳥取砂丘から車で4分のところにある日帰り温泉施設「砂丘温泉ふれあい会館」
などがお勧めです。
砂の美術館
また、鳥取砂丘の隣には、「砂の美術館」があります。
この美術館は、国内外で活躍中の茶像彫刻家・茶圓勝彦氏が総合プロデュースをして、砂で毎年異なる砂像を作って展示しています。
コンセプトは「砂で世界旅行」
で、世界各地の
- 芸術作品
- 建築
- 観光スポット
を、砂像にしていきます。
今まで、イタリア・ルネッサンスやアジアの世界遺産を始めとし、
- オーストラリア
- アフリカ
- イギリス
- 東南アジア
- ロシア
- ドイツ
- 南米
と、年ごとに異なるテーマで、砂像を制作、展示してきました。
砂像は、砂丘の砂を水で固めて筒状にして、削るだけで出来ているので、時間とともに崩れ去ってしまいます。その儚さの中に美しさが秘められていると言われます。
渡辺美術館に来たなら、近隣の鳥取砂丘も、一緒に楽しんできましょう。
渡辺美術館の見どころ!日本武士の息吹を感じられるミュージアム!【鳥取県鳥取市】のまとめ
今回はこのように、渡辺美術館を概観しました。私立の美術館にしてはかなり大きな規模の美術館です!日本の武士の美術品のみならず、東洋の古美術をも堪能できるスポットです。鳥取に来た際には、ぜひ一度立ち寄ってみましょう!