岡山県岡山市の曹源寺は中区にひっそりとたたずむ古刹です。臨済宗のお寺のため、座禅を体験することができ、また、岡山藩の藩主であった池田家の墓所のあるお寺としても知られています。そんな街外れにありながら清廉な雰囲気の漂うお寺をご紹介。
街中のオアシス?町外れに静かに佇む曹源寺!
岡山県といえば大都会とは言えなくとも、中国地方では広島に次ぐ都市として、それなりの街として発展してきました。
そんな岡山の街中からたった10分ほど車で進むだけでこんな神秘的な世界が広がっているとは、岡山に住んでいる人でも知らない人も多いのではないでしょうか。
それが曹源寺です。
岡山県岡山市の市街地から東山峠を越えて県道28号線を進みます。
西大寺・牛窓といった岡山東区の有名なエリアへと直通するこの道は朝の通勤時間、夕方の退勤時間にはとても混み合うことで知られています。
そんなにぎやかな道路を、円山の交差点で一本左に曲がると、突然松の並木が広がります。
この松並木は曹源寺が開山した元禄の頃からずっと残されているそうですから驚きです。
さあ、ここからはすでに曹源寺の参道です。
ここからまっすぐ突き当たりまで行き、岡山市民に愛される里山、操山(みさおやま)のふもとに曹源寺はあります。
曹源寺は正式な名前は
「護国山 曹源寺」
といい、現在は臨済宗のお寺として知られています。
あまり数も多くない臨済宗のお寺のなかで、ここまで立派なものは少なく、西日本屈指の禅寺としての呼び声も高いそうです。
このお寺を開いたのは、江戸時代、岡山藩の二代目藩主となった池田綱政だそうで、池田家の代々の菩提を弔い、また自分の冥福を祈る目的でつくったのだと言われています。
ちなみに、綱政の父であり、初代藩主となった池田光政は、日本最古の庶民学校をつくり、民間教育にも力を入れたことでしられる閑谷学校を開いたことで江戸初期の名君としても数えられる人物なのに対して、その長男であった綱政は、政治のことについては無関心だったといわれ、あまり後の世での評判がよろしくありません。
しかし、これだけ現代にも残る名刹をつくったというだけでも大変な偉業であったといえると思います。
不許葷酒入山門
お寺の総門の手前には
「不許葷酒入山門」(葷酒(くんしゅ)山門に入るを許さず)の碑
があります。
「葷」
とは
- ネギ
- ニンニク
などの香りの強い植物の総称で、酒やそういった不浄のものを持ち込むことを禁止するという意味の碑だそうです。
そうしたところからも俗世の喧噪から離れてひっそりと佇んできたこのお寺の魅力を感じ取ることができそうです。
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掃き清められた境内を歩き、心静かに山門をくぐる…
総門をくぐると、突き当たりの本堂の前に山門があり、その手前には左右に蓮の葉が浮かんだ池があり、眺めているだけで、日常の喧噪を忘れて心静かになっていく自分に気づきます。
また、掃き清められた砂地には、いつ訪れても塵一つ葉っぱ一枚落ちていることがありません。
朝一番に来ると、鳥の鳴き声、自分の足音の他には何一つ物音のしない神妙な雰囲気が境内全体に流れています。(写真を撮るためのシャッター音さえもはばかられるほどです…!)
時には写真家の人が三脚をたてて写真を撮っていたり、または画家と思われる人がイスを持ち込んでキャンパスに向かっていることもあります。
そんな風にどこから撮っても不思議と絵になるのは、このお寺の僧侶たちが常に境内を美しく整えているからでしょう。
山門をくぐると、その奥はヒノキの林となっていて、山門手前とはまた異なる雰囲気が楽しめます。
その奥、突き当たりにあるのが本堂(仏殿)です。
十一面観音
ここには十一面観音が本尊として祀られているのですが、普段仏殿に入ることはできません。
ですが、日曜日の朝8時前にぜひ訪れてみてください。
なんとその時間だけは本堂に入ることができ、そこで座禅会に参加することができるのです(時に小方丈という別の場所で行われる時もあります)。
- 「座禅なんてしたことがない!」
- 「お経とか読み方がわからない!」
- 「そもそも臨済宗じゃない!」
などと色々不安に思われる人もいるでしょうが、ご安心を。
この座禅会は宗派に関係なく、誰でも無料で参加することができます。
また、お経についても覚えるまでは冊子を貸し出してくれるので大丈夫です。
街中からのアクセスの良い位置にある曹源寺ですので、せっかく岡山の観光に来たならぜひこの座禅体験をしないともったいないですよ。
時間にして1時間程度、その後からは時間のある人たちは小方丈でのお茶会にも参加しますが、それは自由参加です。
普段なかなかすることのできない神秘的な体験がこの曹源寺にはあります。
ちなみに、この仏殿の奧に、国の文化財としても指定を受けている池田家の墓所があるので、時間のある人はそこまで見てみましょう。
池には中央に大きな池があり、春には美しいサクラが咲き誇ります。
特にお坊さんが見張っているわけではありませんので無料で入ることもできそうですが、よい子のみなさんはそんな罰当たりなことはせずにきちんとお金を払って入場しましょうね。
帰りは和スイーツを!花かまくらの特大わらびもち!
曹源寺には付近にも売店などはありませんが、先ほど紹介した県道28号線沿いには魅力的な
和スイーツの名店「花かまくら」
があります。
ランチの時間帯には1時間待ちになることもしばしばの人気店です。
今日おすすめしたいのは、せっかくお寺をお参りした後なので和スイーツの、わらび餅です。
ここのわらび餅はとにかく大きく、また店内で食事をした人には割引した値段でお買い求めしていただけるのもうれしいですね。
定番のきなこの他に抹茶味もあるので食べ比べしてみるのも楽しいかもしれませんね。
※価格は平成29年6月現在の情報です。
曹源寺の見どころ!日曜の朝から神秘体験!?座禅の体験できる禅寺!【岡山県岡山市】のまとめ
以上、岡山市の町外れの古刹曹源寺をご紹介しました。実はこの曹源寺、修行僧のほとんどが外国人で、托鉢姿の外国人をたくさん見かけることができるのも密かな見所です。県民でも名前だけは知っていても行ったことのない人が多いであろう曹源寺、ぜひこの機会に訪れてみてはいかがでしょう?