奈良県奈良市は京都と並ぶ、”日本の古都”として古くから栄えていた地域です。歴史ある地域ということもあって、魅力にあふれる歴史的建造物が数多く存在します。世界遺産に登録された”古都奈良の文化財”8カ所の魅力に迫ります。
平城宮跡
平城宮は、710年に遷都された平城京にあった大内裏です。
平成10年(1998年)に「古都奈良の文化財」として世界遺産に登録されました。
平城京の北端に位置し、
- 内廷(天皇の住まい)
- 朝堂院(儀式の場)
- 外朝(役人の職場)
などからなり、四方を塀が囲っていました。
現在は
- 朱雀門
- 東院庭園
- 第一次大極殿
が復元されています。
復元された建造物は平城宮の一部のものとはいえ、それらを見るだけでも往時の雰囲気を偲ぶことができます。
また、
- 遺構展示館
- 平城宮跡資料館
- 復元事業資料館
では、発掘調査で発見された遺構や土器、木簡などの貴重な資料を見学することができます。
唐招提寺
唐招提寺は鑑真が759年に建立した寺院で、平城京を中心に栄えた日本仏教の6つの宗派”南都六宗”の1つ、律宗の総本山です。
平成10年に古都奈良の文化財として世界遺産に登録されました。
境内の
- 金堂
- 講堂
- 鼓楼(ころう)
が国宝に、
- 御影堂(みえいどう)
- 東室(ひがしむろ)
- 礼堂(らいどう)
が重要文化財に指定されています。
他にも国宝や重要文化財に指定されている寺宝が数多くあります。
この落ち着いた雰囲気は往時の雰囲気そのままかもしれませんね。
薬師寺
薬師寺は西ノ京町にある寺院で、興福寺と並んで南都六宗の1つの法相宗の大本山です。
天武天皇が創立し、本尊は薬師如来です。平成10年に世界遺産に登録されました。
薬師寺の伽藍は、その独特のスタイルから「薬師寺式伽藍」と呼ばれています。
建造物の
- 東塔
- 東院堂
や、彫刻の
- 薬師三尊像
- 聖観世音菩薩像
などが国宝に指定されているほか、数多くの重要文化財が保存されています。
また、いつ行っても写経が出来るお写経道場もあります。
眺めるだけではなく写経も出来るなど、一味違った観光を楽しめるスポットです。
元興寺
元興寺は蘇我馬子が飛鳥に建立した法興寺を前身とする寺院で、南都七大寺の1つにも数えられています。
前身となった法興寺は飛鳥寺として残っています。
境内の
- 極楽堂(極楽坊本堂)
- 禅室(極楽坊禅室)
- 五重小塔
が国宝に、東門は重要文化財に指定されています。
奈良時代には東大寺や興福寺に並ぶ規模を誇るなど隆盛を極めた元興寺でしたが、律令制度の崩壊とともに衰退するという悲しい歴史を辿ります。
しかし、昭和18年に辻村泰圓を住職に迎えたころから改修・整備が始められ、平成10年に古都奈良の文化財の1つとして世界遺産に登録されるほどになったのです。
元興寺の見どころは何といっても極楽堂と禅室の屋根に葺かれた”瓦”ではないでしょうか?
日本最古の瓦と言われる、飛鳥時代に造られた瓦には独特の風合いがあります。
1400年もの時を超えてこの地に存在した瓦を眺めていると、いろいろな思いがこみ上げてくるのではないでしょうか?
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春日大社
春日大社は768年に藤原氏の氏社として造られた神社で、全国に1000社近くある春日神社の総本社です。
春日大社の祭神は
- 武甕槌命(たけみかづちのみこと)
- 経津主命(ふつぬしのみこと)
- 天児屋根命(あめのこやねのみこと)
- 比売神(ひめがみ)
の四神です。
春日大社にはたくさんの鹿がいることでも有名ですが、これは武甕槌命が白鹿に乗ってきたという伝承から、”神の使い”として大切にされているからだそうです。
本殿が国宝に指定されているほか、国宝殿には春日大社が所有する国宝352点の国宝や数多くの重要文化財が収蔵されています。
世界遺産に登録された春日大社ではありますが、お祈願やお祓いはもちろん、結婚式も挙げられるなど意外と身近な存在であるところも魅力的です。
神の使いである”鹿”をモチーフにしたおみくじも楽しいですよ!
春日山原生林
春日山原始林は奈良市街の東方にある、250ヘクタールの広さを誇る原始林です。
春日大社の神域として1100年以上も前から狩猟と伐採が禁止され、原始林としての姿を保ってきました。
市街地の近くに原生林が存在することの希少性から、昭和30年には国の特別天然記念物にも指定されています。
原生林を周回する遊歩道も整備され、手つかずの自然に触れられるスポットとして多くの人々の心を癒しています。
人間の手による世界遺産と手つかずの自然が残る春日山原生林の対比も、観光名所めぐりの視点として面白いかもしれません。
東大寺
東大寺は華厳宗の大本山で、聖武天皇が国力を上げて建立した寺院です。
廬舎那仏(奈良の大仏)を本尊としています。
正式名称を”金光明四天王護国之寺”といい、全国にある国分寺の中心をなす「総国分寺」にも位置付けられています。
奈良時代には金堂のほか、東西に2つの七重塔を擁する大伽藍がありましたが、度重なる兵火で多くの建造物を焼失した歴史があります。
現存する大仏も台座の一部に建立当時の姿を残すのみで、大仏殿も江戸時代に再建されたものです。
- 金堂
- 南大門
など8つの建造物や
- 乾漆不空羂索観音立像
- 木造金剛力士立像
など多くの美術工芸品が国宝に指定されているほか、枚挙のいとまがないほどの建造物や彫刻などが重要文化財に指定されています。
南大門のそばにある東大寺総合文化センター(東大寺ミュージアム)では、東大寺の収蔵品の一部が展示されています。
興福寺
興福寺は薬師寺と並ぶ法相宗の大本山で、南都七大寺の1つにも数えられている寺院です。
藤原鎌足とその子藤原不比等ゆかりの寺院としても知られ、藤原氏の氏寺でもあります。
藤原氏の隆盛とともに強大な勢力を誇りました。
しかし”驕る平家は久しからず”の諺にもあるように(藤原家ゆかりですが・・)、源平合戦の兵火で甚大な被害を受けました。
創建当時の建物のほとんどはこの火災で焼失し、現在残る興福寺の建物はすべてこの戦災以降に建てられたものです。
また、廃仏毀釈によっても大打撃をこうむり、一時は廃寺寸前にまで追い込まれたほどでした。
行き過ぎた廃仏毀釈政策が改められて再興が許され去れたのち、古社寺保存法(文化財保護法の前身)の公布をきっかけに修復が進むようになりました。
2度の災厄にも関わらず、興福寺には
- 北円堂
- 東金堂
- 三重塔
- 五重塔
といった国宝の建築物のほかに、国宝や重要文化財に指定された彫刻や書物、工芸品などが数多く収蔵されています。
国宝館ではこれらの国宝や重要文化財を展示されています。
数々の苦難を思いながらこれらの国宝に向き合うと、ただ眺めるだとは違った印象を深くするかもしれません。
奈良県の世界遺産
法隆寺地域の仏教建造物
法隆寺は生駒郡斑鳩町にあります。
布施明の歌「旅愁~斑鳩にて~」によると、斑鳩を旅するのであれば春よりも秋が良いとのことですが、四季折々の見ごたえがある町です。
紀伊山地の霊場と参詣道
満開の桜のニュースが毎年全国ニュースで流れるなど、桜の名所として知られる吉野山のある吉野町は、この「紀伊山地の霊場と参詣道」の一端をなす観光名所です。
日本一周の旅!
奈良市の次は、武士の副業!?金魚のまち!大和郡山市です!
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奈良市は北から時計回りに
の11の市町村と隣接しています。せっかくの機会なので、これらのまちの見どころにも触れてみてください!
奈良県奈良市の観光に世界遺産は外せない!古都が誇る日本の宝を巡ろう!【奈良県奈良市】のまとめ
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