長崎県長崎市の長崎市須加五々道美術館、ここには水墨画の技術を基調とし、西洋美術の遠近法を融合させた独特の画風の「新日本画」と呼ばれる作品などおよそ20点が展示されています。須加画伯の作品は海外でも高い評価を受けており、多くの賞を獲得しています。今回はそんな須加画伯の魅力が詰まった長崎市須加五々道美術館を皆様にご紹介させていただきたいと思います。
長崎市須加五々道美術館までアクセス
美術館の所在地は長崎県長崎市南山手町3-17です。
長崎駅からの移動の手順を挙げると、路面電車利用時は「長崎駅前電停」から「正覚寺下」行きに乗車し、「築町電停」で反対側電停へ渡り「石橋」行きに乗り換えます。
乗り継ぎ券は運賃支払いの際、運転士の方に請求すれば貰えます。
その後「石橋」行きに乗り換えた後は「大浦天主堂下電停」で下車、その後徒歩7分程で到着です。
バスを利用する場合は、「長崎駅前東口バス停」から「ダイヤランド」行き、または「南口バス停」から「野母崎方面」行きに乗車後「グラバー園下」で下車し、徒歩で3分程になります。
入館料や営業日
一般100円、小・中学生は50円となっています。
毎週月曜日は祝日を除き休館日となっています。
~平成29年6月現在の情報です~
周辺の観光スポット
美術館周辺には旧香港上海銀行長崎支店記念館や、軍艦島デジタルミュージアムなどの観光スポットもあるので、長崎の歴史についてもっと詳しく知りたい、という方はそちらも合わせて訪れてみてはいかがでしょうか。
特に軍艦島は2015年7月に「明治日本の産業革命遺産~製鉄・製鋼、造船、石炭産業~」の内の一つとして世界文化遺産に正式登録された事もあり、ニュースなどでも大々的に取り上げられ、大きな注目を集めています。
須加五々道ってどんな人?
フランセーズ大賞を受賞した「農婦」
須加五々道(すかごごどう)は大正2年5月15日長崎市旭町に生まれました(本名:須加道男)。
昭和10年に東亜美術研究所卒業した後、昭和13年にフランスに渡り昭和21年に帰国しました。
昭和34年に神奈川県横浜市に美術団体「墨瓔会」(ぼくようかい)を設立。
平成4年には長崎県民表彰も受賞されています。
平成11年には作品「農婦」が世界40ヶ国のアーチスト出品展においてフランセーズ大賞を受賞し、翌平成12年には作品「緑翠」が国際審議委員会選定会議において、海外芸術交流協会イタリア本部最高賞を受賞されました。
美術館では作品「農婦」の原画が本人より寄贈されており、実際に鑑賞する事ができます。
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平成14年には横浜文化賞を受賞されました。
この賞は女子フィギュアスケートの村主章枝さんや、俳優の別所哲也さんなども受賞されています。
平成15年には、ルーブル美術館で開催された「美の革命展」において、「プリ・デ・リオン賞」・「トリコロール芸術平和賞」(最高賞)の二つの賞を受賞しました。
そして平成20年10月16日、諫早市の病院で95年に渡る長い生涯を終えました。
このようにとても長い間芸術に携わってこられた方でした。
受賞作から青年時代の作品まで!
フランセーズ大賞を受賞した「農婦」、海外芸術交流協会イタリア本部最高賞を受賞した「緑翠」などといった画泊を代表する作品は勿論、青年時代の筆技並びに制作勉学作品と題した作品数点も展示されています。
画泊の若かりし頃のルーツを探ってみるのも面白いと思いますよ。
他にも画泊が実際に使用していた画材や雑誌で特集されているページ、作品が受賞を受けた際のトロフィーやメダル、記念の楯などの展示もあります。
実際に芸術や美術関連の表彰を受ける、という事は中々出来る事ではないので一度美術館に足を運びご覧になってみませんか?
展示作品にもリトグラフやボールペンで描いたものなど様々な種類があります。
ボールペンで描かれた伊豆堂ヶ島や弘前城は一見の価値ありです!
リトグラフ作品にも「緑翠」の他にも、「富士」など日本の名所を描いた作品も展示されています。
中でも目を引いたのが「彩梢」という作品。
色鮮やかな紅色と落着いた緑色が上手く混ざり合い、絵画とは思えない迫力を醸し出しています。
風景美の凄さというものを強く感じさせる作品でした。
この「彩梢」は原画というのも嬉しいところですね。
全てという訳ではありませんが、画伯の作品が原画で楽しめるというのもこの美術館の大きな魅力の一つです。
少し内装の話を致しますが、建物の壁面はミントグリーンの色をしています。
この色は画伯の要望により塗り替えられたらしく、この壁面の色に合うように画伯自らが額縁やマット紙を選ばれたそうです。
是非額縁の一つからでも画泊のこだわりを感じてみてください。
この建物自体が美術作品の一つのように、洋館と日本画という二つの要素が見事に調和しています。
洋館として美術館を楽しむ
この美術館は元々「南山手乙9番館」と呼ばれる建物でした。
幕末から明治時代にかけて港として開かれていた出島の影響もあり、多くの外国人が長崎にもやってきました。
その時に南山手地区には洋風住宅や領事館が建てられ外国人居留地が造成されていきました。
当美術館は明治中期に建てられた木造2階建ての洋風住宅となっています。
そんな旧外国人居留地の町並みが残る南山手地区ですが、平成3年4月にはこの建物を含む34棟の建物を含んだ地域が、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
その後平成14年11月「南山手乙9番館」にこの美術館は開館する事となりました。
他にも同地区内には大浦天主堂や旧グラバー住宅、旧香港上海銀行長崎支店記念館など多くの洋風建造物がありますので、様々な洋館を巡ってみるのも楽しいと思いますよ。
画伯は実際にこの洋館を自らの目で確認し、自身の美術館に決められたそうです。
芸術家としてこの建物に何か感じる所があったのかもしれませんね。
長崎市須加五々道美術館の見どころ!新日本画に感動【長崎県長崎市】のまとめ
随所に画伯のこだわりが見られるこの長崎市須加五々道美術館。長崎を訪れた際には是非一度足を運んでみてください。日本の風景美の素晴らしさ、その風景美を描き出す芸術の凄さというものを再確認できるはずです。多くの方が須加画伯の世界に触れていただければと思います。