長崎県長崎市の福済寺は黄檗宗の寺院です。1628年(寛永5年)に建立されました。崇福寺、興福寺とともに「長崎三福寺」とも呼ばれる唐寺のひとつです。このお寺の檀信徒には漳州と泉州出身の華僑が多く、漳州寺や泉州寺とも称せられていたようです。本堂の建造物などは戦前に国宝とされていましたが、原爆投下により、焼失してしまいました。
福済寺は長崎四福寺のうちの一つ
このお寺を語るうえで何と言っても欠かせないのが長崎観音、正式名称は万国(ばんこく)霊廟(れいびょう)長崎(ながさき)観音(かんのん)です。
高さはなんと地上34m、重さは35tといわれているこの観音様は亀の形をした霊廟を台座として建っており、原爆投下後の長崎の街を今でも見渡しています。
今回はこの歴史ある長崎の街を見渡している大きな観音様があるお寺、福済寺についてご紹介させていただきます。
福済寺へのアクセス
JR長崎駅から徒歩約8分です。
福済寺のおすすめスポット
フーコーの振り子
少しわかりにくいですがフーコーの振り子です。
フーコーの振り子とは、長い振り子、通常10m以上の底に質量の大きいおもりをつけたもので、地球の自転を証明するために使われるものです。
観音様の中にある、このフーコーの振り子、長さはなんと25.1m、日本最大級であり、世界でも三番目に大きいフーコーの振り子です。
このフーコーの振り子には永遠に動き続ける地球とともに私たち、人類も永遠に平和であることの願いが込められているそうです。
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万国霊廟長崎観音
こちらは1979年に建立されたもので、通称、長崎観音とも呼ばれています。
原爆被災者と戦没者の冥福を祈って建立されたものです。
見た目は亀の上に乗った観音様というユニークなものになっています。
この観音様の大きさは亀の上からだと18m、重さは35tもあるということですのでご覧になった方は驚かれるでしょう。
この亀は霊亀とも言われ、麒麟、鳳凰、応竜と合わせて四霊の一体でもあります。
蓬莱山と言われる山を背負った巨大な亀ということもあり、縁起の良い亀として扱われているのです。
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鎮魂の鐘
こちらは時を告げる鐘ではなく、昭和20年8月9日午前11時2分に原爆が投下されたあの日あの時を想起し、御霊安らかれと念じて毎日午前11時2分に7回鐘を鳴らす原爆慰霊の大鐘です。
由緒書きにもありますが、一打ご希望の方は午前11時ごろ、由緒書きの付近でお待ちいただけると鐘を突く事ができるそうです。
ただし、1人1打7人までという決まりがあります。
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慰霊殿
ここには様々な遺品、遺物が残されています。
具体的に挙げてみますと、「戦艦陸奥の遺材(砲台の一部分)」「兵籍番号票」「水筒」「小銭」「手榴弾」「三八式歩兵銃」「紙幣」「仏像」「魚雷」「片耳が焼け落ちた雲版」これらのものからは戦争が残した爪痕が伺えます。
あらゆるものが焼け焦げたり価値のないものになってしまう原爆、戦争の恐ろしさが伝わってくるのではないかと思います。
これらの遺品、遺物は戦争の悲惨さを後世に伝え、恒久平和を祈るために集められたといいます。
福済寺にはあの坂本龍馬も!
1864年、外国軍隊の下関攻撃に備えるために幕府は勝海舟を長崎に派遣しました。
勝海舟に連れられてきたあの坂本龍馬が初めて長崎の地を踏んだ時に逗留したお寺でもあります。
勝海舟と共に長州藩の行った外国船の砲撃、それによる列強諸国からの報復活動を抑えるための交渉役として二人は長崎にやってきたのです。
歴史的に有名な彼らが最初に寝泊まりしたのがこの福済寺だと言われています。
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福済寺周辺のおすすめスポット
・聖林山 本蓮寺
1620年に建立された日蓮宗のお寺です。
このお寺は晧台寺と大音寺と共に長崎3大寺といわれていましたが、原爆で全焼してしまいました。
現在ある本堂は昭和30年に再建されたものとなっております。
教会跡に建てられた勝海舟ゆかりのお寺だそうです。
・万寿山 聖福寺
黄檗宗の由緒あるお寺です。
1677年に京都宇治の黄檗山万福寺の末寺として開創されました。
ここ聖福寺は「聖福八景」として多くの文人が歌に詠んでいます。
また、大雄宝殿前の庭にはキリスト教弾圧時代の悲話が秘められた「じゃがたらお春」の石碑があります。
イタリア人航海士と日本人マリアの間に生まれたお春は15歳の時に母、姉とともにジャカルタ(じゃがたら)に追放されました。
それ以来、長崎の幼なじみの「おたつ」にその思いを手紙に書いて送ったそうです。
お春を哀れんだ歌人・吉井勇の歌が刻まれているそうです。
・日本二十六聖人殉教地(西坂の丘)
1597年、豊臣秀吉のキリシタン禁止令によってフランシスコ会宣教師6人と日本人信徒20人がこの丘で処刑されました。
日本二十六聖人殉教記念碑とは列聖100年祭を記念して1962年、高さ5.6m、幅17mの台座に二十六聖人等身大のブロンズ像を配して建てられた記念碑です。
また、西坂公園の道路を渡るとすぐに二十六聖人記念堂が建っています。
二十六聖人のうちの一人、メキシコ人フィリッポ・デ・ヘススに捧げて建てられたこの記念聖堂は聖フィリッポ教会とも呼ばれています。
教会内は美しいステンドグラスや神聖な雰囲気が漂っています。
今井兼次氏が制作したこの教会はコンクリート打放し仕上げで簡潔な仕上がりでありながら今井氏の思いが込められた教会になっています。
今井氏は日本にスペインの建築家アントニオ・ガウディの建築物を紹介した方であり、この教会もアントニオ・ガウディの代表作サグラダファミリアを彷彿させるような有機的な沿塔やモザイクなどが特徴です。
建築物に興味がある方はぜひ訪問してください。

福済寺内庭園
福済寺の見どころ!大きな観音様があるお寺【長崎県長崎市】のまとめ
長崎の隠れた観光スポット、福済寺をご紹介いたしました。意外と見落としがちな、でもとっても存在感のある長崎観音が見渡す長崎の穴場的なお寺をぜひ訪れてみてください。異国情緒と自然あふれる街、長崎を堪能してください。