宮城県多賀城市にある特別史跡「多賀城廃寺跡」は、多賀城とともに建立された付属寺院です。大宰府観世音寺と伽藍配置が同じであり、寺名も観音寺の可能性が高いと考えられています。そんな多賀城廃寺跡を紹介したいと思います。
多賀城廃寺跡について
史跡となっている寺院跡は、仏教の力で東北地方の安定を図るため建てられた多賀城跡の付属寺院で、多賀城跡と同時に創建されました。
発掘調査の結果、講堂を正面とし東側に三重塔西側に金堂を配置し、築地塀で囲んでたことがわかっています。
このような配置は、多賀城跡の前身である仙台市郡山遺跡の付属寺院である郡山廃寺や大宰府の付属寺院である観世音寺と似ています。
さらに、北外側には僧坊や子房、経楼や倉庫があったそうです。
2㎞ほど西側で万灯会で使われた多量の土器とともに「観世音」と墨書された土器が発掘されています。
多賀城跡とともに大正11年に史跡、昭和41年に特別史跡に指定され、これを記念して多賀城町(当時)は廃寺跡を史跡公園として整備されました。
このような史跡整備は、大阪府枚方市にある百済寺跡(くだらでらあと)に次いで全国で2番目に早く、東日本では初めての試みということです。
特別史跡多賀城跡附寺跡の宮城県多賀城跡調査研究所が発表している「多賀城跡発掘のあゆみ2010」の一文をここに紹介します
発表されている序文では、特別史跡多賀城跡附寺跡は古くから奈良の都・平安京、九州大宰府と並び称されてきた我が国を代表する奈良時代・平安時代の遺跡です。
1960年に、宮城県、多賀城町、河北文化事業団が共同で「史跡多賀城跡発掘調査委員会」を配置して依頼、現在までその実態解明と保存活用を図るための調査を継続しています。
本文の多賀城廃寺の説明では、多賀城の南東約1㎞の丘陵上にあり、仏教の力で東北地方の安定を図るため建てられた多賀城跡の付属寺院。
塔や金堂、講堂などの配置は大宰府の付属寺院である観世音寺(福岡県)、多賀城跡の前身である郡山遺跡の付属寺院の郡山廃寺(仙台市)に似ています。
多賀城廃寺から2㎞程離れた山王遺跡東町浦地区から「観音寺」と書かれた土器が見つかり、多賀城廃寺は「かんのんじ」または「かんぜおんじ」と呼ばれていたと考えられます。
金堂は本尊仏が安置される寺の中心建物で、多賀城廃寺の金堂は東向き(塔の方を向いている)に建てられています。
塔は舎利(釈迦の骨)を収めておく寺の象徴となる高層建築物で、多賀城廃寺の塔は三層と推定されています。
講堂は僧侶が勉強する建物で、僧房は僧侶が日常生活を送る建物です。他に、時を告げる鐘を吊す鐘楼やお経を保管する経楼などがありました。
陶塔や泥塔、塔が描かれた瓦など仏教に関連する遺物が見つかっています。
他に緑釉陶器や灰釉陶器、土製カマド、多量の瓦などがあります。ここまでが書かれている文書です。
①観音寺墨書土器(多賀城市埋蔵文化財調査センター蔵)
200点以上の燈明皿と一緒に捨てられており、多数の灯明をともして仏を供養する万灯会(まんとうえ)に使われたものと考えられています。
②泥塔
型で大量に作った小さな塔の焼き物で、中にお経を収めるて使います。講堂の周辺から多量に見つかっています。
③塔をヘラ書きした瓦(1期)
五重の塔が描かれた瓦です。
これで、瓦工人の中には多賀城廃寺以前に、実際に塔を見た人がいることが分かりました。
④陶塔
塔のミニチュア模型の焼き物です。。
⑤捨てられた大量の土器
多賀城廃寺の南西約500mの場所で、3度にわたって捨てられたおよそ2.000点の土器が見つかった。
いずれにも油煙状の付着物が残っており、万灯会に使用されたとみられる。
⑥鬼瓦
左右ともに多賀城廃寺から出土した1期のもの。左は頭部が方形で、中央に蓮花文が4個配されている。
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多賀城廃寺跡に行った人の感想
春には桜が綺麗で秋には落ち葉やどんぐり拾いもできて小さいお子さんも楽しめる自然豊かな史跡です。周辺の道路は狭いですが駐車場も7台分くらいありますよ。車椅子用トイレもあり、助かりました。散策マップ」が出ているようなので次回はマップを見ながら廻りたいです!
多賀城廃寺跡のアクセスについて
- 住所:宮城県多賀城市高崎1-15
- 電話番号: 022-364-5901
- 東北本線国府多賀城駅から徒歩15分
- 仙台東部道路仙台港北ICから車で10分
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多賀城廃寺跡の見どころ!東北地方の驚きの歴史に触れる旅!【宮城県多賀城市】のまとめ
東北地方の歴史に少しは触れた気がしませんか? 歴史に興味がある方はもちろん、実際に多賀城廃寺跡へ行かれたらタイムスリップをした気にもなるかもしれませんよ!宮城にはいろいろ見るところがいっぱいあります。地元の方はもちろんのこと東北地方へ旅行に行く機会があったら家族連れの方も是非一度立ち寄ってほしいものです!