熊本県熊本市にある三賢堂は、熊本出身の政治家である安達謙蔵(あだちけんぞう)が精神修養の場として昭和11年に建立した建物です。円筒二重層の鉄筋コンクリートの堂で、建坪372.9m、敷地面積7,029mという大きさで、みなさんが想像する一般的な母屋のような建物です。今回は、この三賢堂の魅力についてご紹介をさせていただきます!
三賢堂ってどんなところ?
熊本市出身の政治家であり、大正時代から昭和初期にかけて憲政界、そして民政党の幹部として活躍した安達謙蔵(あだちけんぞう)が、昭和11(1936)年に市民の精神修養の場としてこの「三賢堂」を設立しました。
コンクリート造りの円形の堂内には、安達謙蔵が三賢人として尊敬した菊池武時、加藤清正、細川重賢の座像が安置されています。
- 所在地 熊本市西区島崎5丁目32番27号
- 料金 無料
- 駐車場 叢桂園駐車場が利用可能
- アクセス 市営バスの荒尾橋行きに乗車し、三賢堂前で下車
こちらの情報は平成29年6月現在のものです。
座像の人物について
○菊池武時(きくちたけとき) (1278~1333) 菊池氏12代
鎌倉時代末期の武将で代々勤皇の志が高く、建武の中興に際しては倒幕の兵を挙げました。
一族も南北朝時代に南朝方として征西将軍懐良親王を擁して活躍しました。
○加藤清正(かとう きよまさ) (1562~1611)
安土桃山時代の武将であり、熊本城を築城し、今日の城下町熊本の基盤を築きました。
その優れた土木工事は、400年後の現在でも当時の勇姿を残しています。
○細川重賢(ほそかわしげたか) (1720~1785)
江戸時代中期の肥後藩主。倹約を尊び養蚕、植林をすすめ農業を重んじたことで名君とされました。
また、文武を奨励し藩校時習館を起こした人物でもあります。
安達謙蔵ってどんな人?
安達謙蔵(あだちけんぞう)は元治元(1864)年の10月6日に肥後藩士・安達二平の長男として、熊本府五十人組町(現・下通町)に生まれました。
友枝塾、済々黌で学び、政界入りしたのちに逓信大臣、内務大臣などを歴任。
政界引退後は熊本に戻り、国民精神の強化指導に努めました。
昭和23(1948)年8月2日没。
周辺の観光スポットは?
○釣耕園
釣耕園(ちょうこうえん)は江戸時代中頃に造られた細川藩のお茶屋の一つです。
かつてここに遊んだ細川藩の中老であり漢詩人の米田松洞が、その風情を「釣月耕雲」と詩に詠じたことからこの名が付けられたそうです。
庭園は沢渡り(瀬を渡る飛び石)が設けられた広い池を中心として山渓を取り入れたもので、縁先から眺められるように配置されています。
園内を流れる小川の近くの斜面に植えられたシャクナゲは、4月下旬から5月上旬に開花し、淡いピンク色の花をつけます。
○叢桂園
叢桂園(そうけいえん)は釣耕園の下手にあり、藩の医学校再春館(さいしゅんかん)の師役村井家の別荘跡で、見朴の子椿寿(琴山)が作庭したといわれています。
庭には釣耕園の水を引いて曲水がつくられ、その下手には中国の洞庭湖に模した池が設けられています。
往事はその北に簡素な茶室があり、西側の小窓を開けば荒尾山(あらおやま)がその枠内に入って、一幅の絵となるつくりをしていました。
頼山陽(らいさんよう)などの文人が訪れたといわれています。
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○延命水
延命水は、三賢堂のすぐ前の道路沿いにあります。
この水は釣耕園や叢柱園にも引かれています。湧出口近くで炊事や洗濯ができるように階段があり、生活との結びつきの強い湧水です。
平成の名水百選「金峰山湧水群」のひとつでもあるこの延命水は、紙屋川の源流で、この流れは釣耕園の庭を通って次に叢桂園の池に流れています。
地元の人達が毎週清掃し、夏にはスイカなどを冷やしたりして大切にしています。
平成19年には、熊本市の水の風土と文化を後世に伝え、その魅力を市内外に広くPRするため、有形無形の資源の中から水遺産として、市内三百カ所の一つとして登録されました。
○岳林寺
熊本市島崎にある岳林寺は、天平宝字年間 (757~764) に創建されましたが、後に荒廃し、天正9年(1581)に城親賢(じょうちかまさ)によって、曹洞宗の寺として再興されました。
明治30年(1897年)の大晦日には夏目漱石が、ここから天水町(てんすいまち)にある小天温泉(おあまおんせん)まで歩いたというエピソードが残っています。
また、敷地内には、天正年間(1573年~92年)の城親賢公の墓があり、「くまもと春の植木市」は、城親賢が命じて始まったといわれています。
植木市が始まる前の1月20日前後には岳林寺で墓前祭が行われます。
岳林寺について詳しくはこちら⇒岳林寺は見どころが満載!
熊本市西区の他の見どころはこちら⇒熊本県熊本市西区の観光スポット10選!
三賢堂の見どころ!熊本出身の政治家 安達謙蔵が建立【熊本県熊本市西区】のまとめ
今回は熊本熊本市にある観光スポット「三賢堂」をご紹介しました。ここは熊本出身の政治家、安達謙蔵(あだちけんぞう)が精神修養の場として建立した建物ですが、安達謙蔵を知らなくても立ち寄って損はない観光スポットだと思います。周辺にも釣耕園をはじめ観光できる場所が多いので、熊本市に行った際にはぜひ訪れてみてください。