岩手県盛岡市にある岩手県立美術館は、岩手を代表する美術家はもちろん、世界的に有名な日本の画家のコレクションが所蔵されている美術館です。1日過ごせる場所になっていますので、時間をたっぷりとって行って見ましょう!
美術館のあらまし
岩手県立美術館は2001年(平成13年)に開館しました。
岩手県立美術館は、郷土・岩手県にゆかりのある美術家(有名な所では、萬鐵五郎、松本竣介、舟越保武)を中心に収集活動を行ってコレクションを形成している点が特徴となります。
美術館は「このようなコレクションをさらに発展させて、県民の共有財産化して継承していくことを目標としている」そうです。
美術ファンのみでなく幅の広い年齢層の来館者を対象にして、収蔵作品の展示を行うだけでなく、体験参加型の企画も開催し魅力ある美術館を目指しています。
収蔵作家の紹介
岩手県立美術館で収集しているのは、岩手県出身やゆかりの作家の作品のみでなく近代美術・現代美術の優れた芸術作品です。
この項では、岩手県立美術館のコレクションの中核をなす3人の作家と主要作を紹介します。
萬鐵五郎
1885年(明治18年)に岩手県土沢(現花巻市)の回送問屋の長男として生まれ、少年の頃は日本画を独習し、やがて大下藤次郎の著作の影響を受けて水彩画を始めました。
芸術家を志した彼は従兄弟と一緒に東京に赴き、参禅や白馬会に参加し東京美術学校西洋画科を卒業、美校の卒制作品の『裸体美術』は日本におけるフォービズム受容の作品として話題になりました。
斎藤与里、岸田劉生らとフュウザン会を結成したものの翌年にはこの会を解散。
この時期に、同時代のヨーロッパの前衛美術に触れて実験的な作品の制作を行い、1914年(大正3年)には故郷の土沢に戻って、制作を続けたそうです。
作風はキュビズムを出発点に
- 自画像
- 静物画
- 風景画
などの作品を描き、萬自身の様式を模索し院展洋画部に作品を発表しました。
過労と睡眠不足に苛まれる制作活動は8年間続いた結果、精神を病み、神奈川県の茅ヶ崎で療養をしました。
この時期には、『木の間から見下した町』(岩手県立美術館収蔵作品)などの南画風の文人画を描きました。
交友関係は、前田寛治、林武、恩地孝四郎に及び、晩年には『水着姿』(岩手県立美術館収蔵作品)などを制作しました。
1927年(昭和2年)、結核を患い同時に肺炎を併発し、茅ヶ崎にて没しました。享年41歳。
スポンサーリンク
松本竣介
1912年(明治45年)、生まれは東京都の渋谷区でしたが、幼いころから岩手県(花巻、盛岡)で過ごし県立盛岡中学に学びました。
盛岡中の同級には舟越保武がいました。この時期に脳脊髄膜炎で聴力を失い、画家を志したそうです。
東京に赴き太平洋画研究所に通学、麻生三郎、寺田政明らと親しくなりました。1936年(昭和11年)には結婚し松本姓を名乗りました。
1941年(昭和16年)、画家に対する戦争協力の要請に反対して論文「生きてゐる画家」を作成、この頃舟越保武や澤田哲郎らとたびたび展覧会を開き、1943年(昭和18年)には、靉光(あいみつ)、麻生三郎、寺田政明らで新人画会を結成しました。
敗戦後の1946年(昭和21年)、敗戦後の空虚感で沈滞してしまった美術界の再起を促す文章を発表。
1948年(昭和23年)、東京都新宿区内で病没しました。享年36歳。
収蔵作品には、『除雪』(1939年)、『黒い花』(1947年)、『人』(1940年)などがあります。
舟越保武
1912年(大正元年)に岩手県一戸町に生まれ、県立盛岡中学校で後に画家になる松本竣介と知り合います。
東京美術学校彫刻家に入学し、大理石彫刻を手掛け、舟越の石彫は直彫りを特徴としました。
1941年(昭和16年)には盛岡で松本竣介との二人展を開き、両者は1948年(昭和23年)の松本の死没まで続きました。
1950年(昭和25年)、カトリックの洗礼を受けて、『長崎26殉教者記念像』を制作して反響を呼んだ他、島原の乱を舞台にして原城跡に着想を得た『原の城』を制作して高い評価を得ています。
昭和55年に東京芸術大学を定年退官しても制作を続けましたが、2002年(平成14年)に89歳で没しました。
岩手県立美術館周辺のお店
カフェレストラン ビクトリア
カナダの住宅展示場、カナディアンパークの中にあるレストランです。
カナダの輸入住宅をあしらった外観はとてもオシャレ!もちろん内装も素敵な空間です。
テラス席では、ペットとゆっくり楽しむこともできます。
- TEL:019-613-7457
グリズカフェ
アイスアリーナ2階にあるレストランで有機農法による自家栽培野菜を調理しています。
- TEL:019-658-1877
岩手県立美術館へのアクセス
- 盛岡駅よりバスでの場合
盛岡駅東口より
岩手県交通バス『盛南ループ200』乗車、「県立美術館前」下車
下川原 先回り(左回り)盛岡駅東口バスプール(10)番乗り場 美術館まで約13分 200円)
菜園 先回り(右回り)盛岡駅東口バスプール (5)番乗り場 美術館まで約31分 200円) - 車での場合
盛岡インターより約20分
美術館に隣接する盛岡中央公園の駐車場を利用します。(無料)
(普通車 138台、大型5台) - その他
徒歩の場合・・・盛岡駅西口から20分
タクシーの場合・・・盛岡駅西口から5分
岩手県立美術館は地域に密着した美術館!地元ゆかりの著名画家の豪華コレクションを楽しもう!【岩手県盛岡市】のまとめ
岩手県立美術館のコレクションの中核をなすのは、郷土出身の画家である萬鐵五郎と松本竣介です。全国でも有数の規模を誇るコレクションとして仕上がっています。岩手県立美術館の常設展示を見れば、大正時代から昭和戦後直後までの近代洋画の展開を深く味わうことができるでしょう。