福島県会津若松市にある関漆器店は、創業100余年の会津塗の製造卸問屋さんです。全国有名デパートや主要問屋向けへ会津塗製品を、福島県会津若松市で、製造、販売卸しをする仕事をされています。関漆器店の始まりは明治43年、塗師として創業するところから始まります。その後、昭和9年に卸売として創業し、昭和41年に合名会社(出資者のみによって設立された会社)に組織変更されました。平成3年には本社にデザイン室を設け、平成23年5月には七日町にも開店されています。
日本四大漆器のひとつ「会津塗」
皿などの陶磁器のことを英語で「China」ということに対して、漆器のことを「Japan」と呼ぶのだそうです。
それほど日本を代表する工芸品、それが漆器です。日本には多くの漆器の産地がありますが、その中でも「日本四大漆器」と呼ばれるものがあります。
これは紀州漆器・越前漆器・山中漆器の産地を指しますが、その中のひとつが会津塗(漆器)です。
会津塗の歴史は、室町戦国時代までさかのぼります。
当時、会津若松を支配していた芦名氏は、漆の木の植樹を奨励し、漆蝋を買い上げていました。
そののち、漆から取れる樹液を木地にほどこし、塗り椀・盆・鉢などといった日常に使われるものを作らせました。
安土桃山時代に入り豊臣秀吉が天下をとる際に領主となった蒲生氏郷は、近江の国・日野(現在の滋賀県)から塗師や木地挽を呼び寄せ、現在の関漆器店のある七日町に屋敷を与えます。
スポンサーリンク
そして伝習所をつくり日野椀の製法を伝授したと言われています。蜜蝋は大きな収入源となっていましたが、氏郷は新たに漆器を収入産業源としていきます。
また、利休七哲(千利休の高弟)の筆頭に数えられる文化人でありましたので、装飾技術の向上などの保護育成をおこない会津漆器文化の基礎をつくり上げます。
江戸時代に会津塗は隆盛を迎えることになり、大きな藩の収入源として重宝されるようになります。
また、藩の許しを得て海外などにも輸出され、主に長崎から中国やオランダへ輸出されました。
しかし、江戸時代が終わる頃に起きた戊辰戦争により、会津塗は壊滅的打撃を受けます。その後、政府などの支援を受け、復興を迎えるのは明治中期になってからでした。
現在、売り上げは約50億円。生産額でみると全国第3位という、日本有数の漆器の産地にまで成長し、日本の漆器産業を守り続けています。
多彩な加飾が美しい会津塗の特徴
会津塗の特徴は、会津産のブナ、トチ、カツラ、ケヤキ、クワ、ホウといった木材と漆を使用し製作されていることや縁起の良い意匠や漆器に装飾を加える(専門用語で加飾といいます)ことの美しさといえます。
また、漆の塗りかたについても独特で、そのことが会津「塗」というゆえんとなっています。
加飾の技法は多彩で、
- 「鉄錆塗(てつさびぬり)」
- 「金虫喰塗(きんむしくいぬり)」
- 木目の美しさを引き出した「木地呂塗(きじろぬり)」
- 油を加えて光沢を出す「花塗(はなぬり)」
- 塗られた漆の乾燥具合をみつつ金粉の最も細かい消粉を真綿で蒔きつける「消粉蒔絵(けしふんまきえ)」
などが技法としてあげられ、それぞれ高度な技術が要求されます。
関漆器店ならではの特徴
関漆器店では、伝統的な技法で作られた製品に収まらず、新たな技法を取り入れ、現代に通用する様々な企画商品を製作し、販売卸をしています。
企画商品にも力をいれていて、津軽地方の伝統玩具である起き上がりこぼしを日本三大文殊院の一つである会津高田文殊院で、ご祈祷し、漆を施した製品「置くとパス大明神」2,160円が根強い人気商品で、登録商標をとっています。
家を護り、繁栄をもたらす、守護四神を会津塗の手法である蒔絵で施したパネルや祝い事や記念品などに用いられる木杯なども人気です。またサンゴ調に漆を施した各種アクセサリーなども好評です。
縁起の良い干支を器などに施す、裏干支と呼ばれる手法は登録商標をとっておられます。
本店の1階及び七日町店の展示・販売スペースでは、先に挙げた商品を含めた会津塗製品を歴史に触れつつ、気に入った製品をその場で購入することができます。
本店の2Fには、デザイン室と商談室があり、「この予算でこのようなものを」とか「こういったイメージのものを」という相談に気軽に乗ってもらえ、オリジナルな漆製品を一個から作成してもらうこともできます。
また、壊れにくいのが漆器の特徴なのですが、壊れた際には修理の相談に乗ってもらえます。しかも、様々な漆塗製品の修理の相談に乗ってもらえるのがありがたいところです。
歴史のある会津塗に触れてみたい。手ごろな価格で一品持っておきたいという思いを気軽にかなえてくれる。そんなお店です。
行きかたは?
会津本社には、JR会津若松駅から「まちなか周遊ハイカラさん」というバスに乗り3分。大町二之町バス停で降り、2分歩くと見えてくるオレンジ色の「暖簾」が目印です。
ぬり一 七日町店には、JR只見線、七日町駅で下車。「まちなか周遊ハイカラさん」というバスに乗り6分。郵便局前バス停で降り、数分歩くと見えてくるオレンジ色の「暖簾」が目印です。
会津若松市の観光・お出かけスポット
会津若松市の他の見どころをまとめました。
関漆器店の見どころ!会津塗りを是非あなたにも!【福島県会津若松市】のまとめ
関漆器店は、「ぬり一」という屋号を持つ塗師のかたが始めた会津塗のお店でもあります。主に全国有名デパートや主要問屋向けへ会津塗を製造・販売卸しをする仕事をされていますが、個人の要望に沿って、会津塗製品を作成してくださるお店です。また、漆器が壊れた際には、漆製品全般の修理の相談に乗ってもらえるお店です。また、自分だけが持つ漆製品の要望にも応えてくださいますので、ぜひ一度訪れてみてください!