愛媛県松山市の湯神社とはその名のとおり湯つまり道後温泉を守護する神社です。日本最古と言われる道後温泉と同じく歴史が古く、大国主命(大黒天)を主祭神とする由緒正しい神社です。温泉人気ランキングの上位に挙げられる道後温泉を守ってきた神社をご紹介したいと思います。
湯神社の場所は
湯神社は愛媛県松山市道後湯の町の冠山の上にあります。市内電車の道後温泉駅を出ると正面に大きな石の鳥居が見えます。
その向こうの石段の上に見える神社ではなく、湯神社はその手前左にある石段を上がったところにあります。
正面に見えるのは伊佐爾波(いさにわ)神社と言ってこちらもお勧めの観光スポットです。国指定の重要文化財である社殿は整った八幡づくりで全国でも3つしかないそうです。
とても歴史のある色彩の美しい建物です。
- 国指定重要文化財の太刀
- 愛媛県有形民族文化財の算額(和算の問題と解答を書いた絵馬)
が奉納されています。算額の数は日本一だそうです。
石段は厳しいですが上る価値はあります。
この石の鳥居を抜けて少し行くと左手に石段があります。ここを上がったところに湯神社があります。道後温泉駅から歩いて4分くらいです。
この石段はかなり急で上るのが大変ですが、道後温泉本館北側から神社の駐車場へ上がるスロープもあるので車でも上がることができます。
中嶋神社
石段を上るとすぐ左手に神社があります。併設されている中嶋神社です。
お菓子の神様・・・中嶋神社
こちらは田道間守命(たじまもりのみこと)というお菓子の神様を祭っています。
田道間守命は垂仁天皇に命じられて海の果てにあるといわれた常世の国まで今の橘を取りに行きます。当時果物は大変貴重な菓子でした。
後に菓子の神として祭られるようになったといわれています。松山の中嶋神社は1957年四国4県の製菓業者によって兵庫県豊岡市の中嶋神社から分霊して創建されました。
兵庫県の中嶋神社は1400年くらい前、推古天皇のころに建てられたそうです。また橘は蜜柑の原種なので蜜柑の神様でもあります。蜜柑の国愛媛県にとって縁のある神様です。
お土産で見かける美味しそうなお菓子屋さんの名前がいっぱい刻まれています。
中嶋神社の角を曲がると正面に社務所が見えてきます。そして左手に目指す湯神社があります。
歴史
湯神社は大己貴命(おおなむちのみこと)こと大国主命(おおくにぬしのみこと)と小彦名命(すくなひこなのみこと)を主祭神として景行天皇の勅命で創建されました。
もとは道後温泉の起源の地とされる鷺谷にありましたが、1520年代の地震で温泉が埋没したとき神社も壊れてしまったため現在のところに移されました。大国主命は大黒様としても知られています。
ここ冠山には須佐之男命(すさのおのみこと)と稲田姫命(くしなだひめのみこと)を祭った出雲崗神社がありましたが、そこに一緒に祭られました。
ここ愛媛県松山市に八岐大蛇(やまたのおろち)の伝説で知られる須佐之男命と稲田姫命が祭られているのは不思議と言えば不思議です。
1707年の地震で温泉の湯が出なくなったとき、湯神社で祈祷をしたらまた湯が出るようになったためその功績で別に社が作られました。
明治になり社がまた1つにまとめられましたが、その時に湯神社が主で出雲崗神社が合祀され今の形になりました。なにせ温泉の町ですから。
鷺の伝説
足を怪我した鷺が湧いている湯につかってその傷を治して飛びたったという伝説があります。鷺谷という地名もその伝説に由来します。
その湯が道後温泉として今も人々を癒しています。特に足の病気に効くといわれています。
正岡子規が「足なへの 病いゆてふ 伊予の湯に 飛びても行かな 鷺にあらませば」と短歌に詠んでいます。
玉の石の伝説
伊予の国(現松山)を大国主命と少彦名命が旅をしているとき、少彦名命が病気になりましたが温泉の湯で元気を取り戻しました。
それを喜んだ少彦名命が石の上で踊ったとの伝説があります。その時の石が「玉の石」として道後温泉本館の北側に祭られています。
少彦名命は大国主命の手に乗るくらい小さな神様だったそうです。
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ネズミの伝説
大国主命が窮地に陥ったときネズミが助けたという伝説が古事記に載せられています。
湯神社で行われる「初子祭」はその伝説に由来しています。また社殿の建設や修理は子の日から始めることになっていました。
行事
初子祭
初子祭:旧暦11月の最初の子の日に行われていました。今は正月の第2日曜日に行われます。社務所前に大きな四角い穴を掘り、そこで古いお札や注連縄などを燃やします。
神主の祝詞、酒肴の奉納などの一連の儀式の後点火されます。配られた福餅をその火で焼いてもらって食べることができます。
湯祈祷祭
湯祈祷祭:地震などの災害で温泉の湯が止まった時湯神社で祈祷が行われてきました。湯が再び戻ってくると感謝して祈祷祭が催されました。
今は3月19日から21日に道後温泉祭のイベントのひとつとして行われています。
アクセス
JR松山駅前駅から道後温泉行の市内電車が出ています。坊ちゃん列車もここから出ています。
明治期の列車を復元したもので現在はディーゼルエンジンで動いています。内装も明治期のもので窓は鎧戸になっています。乗車中に車掌が説明をしてくれます。終点駅での方向転換は手動です。
一生懸命列車を回転させている車掌さんたちに、観客から「頑張れ!」との声かけや拍手などが起こります。終点道後温泉駅から歩いて4分くらいです。
湯神社の見どころ!道後温泉の守護神社!【愛媛県松山市】のまとめ
湯神社は城を守るための前線基地の役目も持っていました。文化的な面だけでなく政治的な側面もあったということです。ここ伊予の国松山は様々なテーマで散策しても面白いと思います。