青森県青森市の八甲田山雪中行軍 遭難資料館は、明治35年に起きた世界最大級の山岳遭難事故とも言われる八甲田雪中行軍遭難事件に関する資料館です。史実に基づき、事件に関する様々な資料や犠牲者の遺物展示や映像での紹介をしているほか、隣接する公園には、青森市の史跡天然記念物に指定されている「多行松」や多くの桜の木が植えられ、お花見シーズンにはたくさんの観光客で賑わいます。今回は、そんな八甲田山雪中行軍 遭難資料館をみなさまにご紹介させて頂きます。
八甲田山雪中行軍遭難事件について
八甲田山雪中行軍遭難事件は、日露戦争の2年前にあたる明治35年(1902年)1月、日本陸軍第8師団の歩兵第5連隊が八甲田山での雪中行軍の途中で遭難し、従事者210名のうち199名が死亡したという山岳遭難事故です。
日本の冬季軍事訓練における最も多くの死傷者が発生した事故であり、近代の登山史における最大級の被害であったと言われています。
遭難事件のルート
日本軍はロシア戦を想定し、八甲田山から三本木までの進軍演習を実施。
侵入した仮想敵に対し、青森5連隊計210名が演習に参加しました。
1月23日、雪山へと進軍。
しかしすぐに猛吹雪となり、予定のコースを外れ、結果的に野営。
翌日、マイナス20度かつ雪が吹き荒れる中での行軍は困難を極め、食糧不足と低体温により兵士の3割が死亡。
さらに翌日には3割の兵士が凍傷となりました。
救援を求め、一部の兵士が下山を試みるも難しく、すべての兵士が追い詰められていきました。
4日目にしてすでに生存者は10名となり、天候は悪化の一途をたどります。
音信不通となった連隊に対し、大規模な捜索隊が派遣されたのは1月28日でした。
捜索は悪条件の中で困難を極め、結果的に最後の遺体が回収されたのは5月末となりました。
生存者は3名のみ
計210名の中で、救出されたのは17名でしたが、うち6名が治療中に絶命。
他の生存者も重度の凍傷で、五体満足の状態で生き残った兵士は3名でした。
露営のための雪壕模型です。屋根をつくることができず、周囲温度を上昇させることができませんでした。
多くの犠牲が出た背景には、
- 天候状態が史上稀に見る劣悪なものであったこと
- 装備が非常に粗末であったこと
- 軍における雪山行軍の様々な知識が十分ではなかったこと
- そしてそもそも訓練自体の行軍や野営が適切ではなかったこと
が挙げられます。
八甲田山雪中行軍 遭難資料館の主な展示について
八甲田山雪中行軍 遭難資料館には、第5連隊の
- 訓練の詳細と足跡
- 凍傷
をはじめとする
- 雪山遭難における発生症状
- アイヌ人の捜索協力
- 兵士の装備
- 報道の様子
など、詳しい説明書きやレプリカが展示されています。
お花見スポットとしての資料館
多目的広場のソメイヨシノ
八甲田山雪中行軍 遭難資料館の周辺の公園にはソメイヨシノが植えられ、春はお花見スポットとしても地元の住民の方々や観光客がたくさん訪れます。
またこの多目的広場にはブランコや滑り台などの遊具があり、近隣のお子様だけでなく、訪れたご家族連れがゆっくり出来るような場所となっています。
広さもありますので、ボール遊びも可能です。
多行松
多行松はアカマツの園芸品種です。
「江戸時代に偶然できた」
とも言われ、関東では新宿御苑に立派な多行松があります。
幹が株元近くからたくさん出るのが特長で、メインとなる太い幹はなく、ふつうのアカマツとは見た目が全く異なります。
枝はやや水平方向に伸びて、きっちりと手入れすると傘を広げたような半円形でまとまりのよい樹形になります。
その様子はブロッコリーを水平な場所に立てて置いたような姿です。
葉っぱや枝はアカマツに比べると細めで、繊細な雰囲気です。
樹皮はきれいな赤褐色で、このあたりでアカマツの仲間なのだと理解できます。
樹高は4mほどに成長します。
芝生や池のそばなど、障害物のない場所に単植したり、見通しのよい散策道の脇に列植すると良く映えます。
青森市の史跡天然記念物に指定されており、資料館の周辺の公園で鑑賞できます。
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八甲田山雪中行軍 遭難資料館
アクセス
青森駅前市営バス3番、田茂木野または田茂木沢行き乗車(所要時間 約30分)
幸畑墓地前下車。料金390円。
青森駅前市営バス3番、幸畑団地行きまたは横内環状線(筒井経由)青森駅行き乗車(所要時間 約30分)
幸畑下車、徒歩10分。料金360円。
住所・電話番号
- 青森県青森市幸畑(大字)阿部野163-4
- 017-728-7063
駐車場
資料館のある幸畑墓苑内にはP1(20台)、P2(25台)の駐車場が完備されています。
バスが停められるのはP2のみです。
- 観覧料金:
一般…260円
大学・高校生…130円
70歳以上と中学生以下、無料
※団体(20名様以上)一般…130円/大学・高校生…60円 - 開館時間:
9:00~18:00(4月~10月)
9:00~16:30(11月~3月) - 休 館 日:
年末年始(12/31~1/1) 2月の第4水・木曜日
(平成29年6月現在)
八甲田山雪中行軍 遭難資料館は老若男女に安心の設備が充実
- バリアフリー設備出入り口段差なし
- 車イス対応トイレあり
- オストメイト設備あり
- オムツ交換台あり
- 障がい者用駐車場あり
- 音声案内設備あり
- 車イス貸し出し
- 車イスでの見学ができる経路あり
- 高齢者・障がい者割引あり
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八甲田山雪中行軍 遭難資料館の観光情報!お花見スポットしても人気です!【青森県青森市】のまとめ
今回は八甲田山雪中行軍 遭難資料館の魅力についてお話をさせていただきました。歴史を知り、思いを馳せる場所として大人の方も多いですが、多目的広場には遊具などもあり、お子様連れでも退屈させずに観光をすることができる場所です。お花見スポットとしても有名ですので、様々なシーンでぜひ訪れて頂きたい場所となっています。